実務翻訳者(修了生)にインタビュー ~実務翻訳の仕事とは?~Vol.4

実務翻訳者(修了生)にインタビュー ~実務翻訳の仕事とは?~Vol.4

翻訳のお仕事実務翻訳者(修了生)にインタビュー ~実務翻訳の仕事とは?~Vol.4

英語にしづらい表現に、ピタッと納得のいく訳ができ上ったときに達成感を感じます

日々生み出されるさまざまな翻訳(原文)と向き合っている実務翻訳者。翻訳会社がクライアントから受注する翻訳のお仕事は多種多様ですが、翻訳を行う翻訳者のお仕事のスタイルもさまざまです。翻訳者が実際にどのように翻訳のお仕事に取り組んでいるのかはなかなか見えにくい部分がありますが、実際のインタビューを通してイメージを広げていただけたら嬉しいです。

Vol.4 古宮征子さん(実務翻訳者)

翻訳講座の社会・文化コース、環境・自然科学コースを修了し、日英翻訳者として活躍される古宮さんにオンラインでお話をうかがいました。

古宮征子さん(実務翻訳者)

古宮征子さん(実務翻訳者)

基礎、Step1、Step2の社会・文化 日→英コースを修了後、翻訳者登録。その後、環境・自然科学コース(日→英)も受講し、現在は、ニュース、コラム、国際協力、環境・自然科学に関する翻訳などを中心に手がける。

翻訳の学習を始めたきっかけや翻訳者を目指そうと思ったきっかけを教えてください。
古宮さん:もともと英語が大好きで、大学でも英文学を専攻していました。以前から「翻訳」という仕事に興味はあったものの、特に英語の教員として働いていた頃は忙しくて学ぶ時間が取れませんでした。ただ、出産を機に、育児や介護といったライフスタイルの変化を見据え、在宅でできる仕事を考えた時に、もともと興味のあった翻訳に挑戦してみようと思いました。
翻訳の中でも実務翻訳を選んだのは、身近なところから何か役に立てるかなと考えたためです。最近はだいぶ改善されてきましたが、例えば、街中にあるトイレの表示や看板など日常生活の中で、日本語と英語が併記されているものを見て、翻訳が少しおかしいなと思うことがよくありました。「もっと自然な翻訳ができるのでは」と感じたのがきっかけで、実務翻訳の仕事に興味を持つようになりました。社会・文化コースの英訳を選んだのもそうした理由です。
実際に受講をしてみていかがでしたか?
古宮さん:一番苦労したのは時間管理です。納得いくまで考えてしまうとどうしても時間がかかってしまい、目安の時間内に翻訳を終えることができませんでした。私の場合、少しパソコン操作に弱い面があったので、リサーチにとても時間がかかっていたのですが、受講と並行してパソコン教室に通い、慣れてきてからは少しずつ改善することができました。あらかじめ翻訳にかける時間を設定して、なるべく時間内に翻訳を終えるよう意識して取り組むようにしました。
受講中に意識していたことや、おすすめの勉強スタイルがあれば教えてください。
受講中に意識していたことや、おすすめの勉強スタイルがあれば教えてください。
古宮さん:受講中は復習を大事にしていました。添削で指摘された箇所は納得いくまで考え、それでも疑問点が残る場合は質問シートを活用しました。復習は手書きのノートにまとめて、後から見返せるようにしていました。自分には手書きのスタイルが向いていたので。今でも、翻訳をしていてちょっと気になることがあると、書き留めて保管しています。
受講の途中からChat GPTが普及し始めて、リサーチやちょっと不安な箇所にアドバイスしてもらうなど、活用するようになりました。間違った情報が出てくることもあるので注意して使っていますが、翻訳のスピードアップやブラッシュアップに寄与していますね。ただし、翻訳そのものを任せてしまうと自分の勉強にならないので、訳文は自分で作成するようにしていました。
点数が伸び悩んだ時期はありましたか?
古宮さん:環境・自然科学のコースに入ってから、初歩的なミスで点数が下がることがありました。冠詞の使い方に迷いが出て、スクールでおすすめしてもらった参考書を2冊購入して徹底的に学び直しました。また、専門分野に関する知識不足も感じて、自然科学分野についても勉強しました。日本語で知らないことであれば、なおさら英語の表現はわかるわけないので。英字新聞で関連記事を読んだり、記事全体を書き出したりしていましたね。
そうした経験から、添削結果を客観的に見直し、自分の弱点を把握して対策することが点数アップにつながると感じました。
実際に仕事を始めて、受講との違いを感じた点は?
古宮さん:やはり一番の違いは納期があることです。納期から逆算して作業量を調整し、タイムマネジメントをしっかり行う必要があります。また、たとえ多少ナチュラルじゃない表現があったとしても、誤訳はなんとしても避けなければいけないので、リサーチは欠かせません。特に法律などで定訳がある場合は、それを正しく使う必要があります。
また、実際のお仕事では、Phrase上で機械翻訳の訳が提供され、それを参考にして翻訳作業を行うことが多いんですが、逆に戸惑ってしまうこともありました。実際、機械翻訳の訳文は手直ししないといけないことが多いので。
現在はどんな内容の翻訳をされていますか?
現在はどんな内容の翻訳をされていますか?
古宮さん:大学のニュース記事や先生のコラム、留学生向け書類の翻訳などが中心です。実は、翻訳者登録後、初めて受注したお仕事が母校の翻訳案件で、これは運命に違いないと思いました(笑)。ご縁があり、それ以来多くの案件をいただいています。
他には労働安全や農業促進などSDGsに関連した研修資料、食品のインベントリー、最近はおせち料理のメニューの翻訳などもありました。文化的な背景を考慮しながら訳すのが難しいながらもとても楽しかったです。
お仕事の楽しさややりがいを感じるときはどんな時ですか?
古宮さん:英語にしづらい表現に、ピタッと納得のいく訳ができ上ったときに達成感を感じます。先ほどのおせちのメニューもそうですが、他にも、スポーツ選手のコメントなどを訳す時に、英語圏の方々に伝わる表現を考え、自然な英語に工夫する作業が楽しいです。また、リサーチを通じて自分の知らない新しい知識に触れ、興味の幅が広がるのも翻訳の魅力ですね。実際、最初に受講した社会・文化コースの課題でSDGs関係の内容に触れ、興味を持ったことがきっかけで、その後に環境・自然科学コースを受講しました。それが、現在の翻訳のお仕事にもつながっています。
今後の目標を教えてください。
古宮さん:もっと作業スピードを上げて、分量の多い案件にも挑戦したいです。また、絵本や文芸作品の翻訳にも興味があるので、将来的にそういったお仕事に携わることができたらという夢もあります。また異なる分野になりますが、日々精進したいと思っています。
インタビュアー
受講を通して、ご自身の弱点や課題を客観的に把握し、それを克服することで逆に力に変えていることがとても印象的でした。ラジオ講座を聞いたり、英字新聞や洋書を読んだりするのが日課ということで、翻訳だけでなく、英語に触れることが日常になっているそうです。そうした日々の積み重ねが、翻訳者としての現在に繋がっているんだなと感じました。(MRI語学教育センター 鈴木)

過去のインタビューはこちら
Vol.1 宮坂祐子さん(実務翻訳者)
Vol.2 オルダトン美和さん(実務翻訳者)
Vol.3 五十嵐裕さん(実務翻訳者)

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