実務翻訳者(修了生)にインタビュー ~実務翻訳の仕事とは~Vol.2

実務翻訳者(修了生)にインタビュー ~実務翻訳の仕事とは~Vol.2

翻訳のお仕事実務翻訳者(修了生)にインタビュー ~実務翻訳の仕事とは~Vol.2

受講中にまとめたエクセルは今でも見返すことがあります

日々生み出されるさまざまな翻訳(原文)と向き合っている実務翻訳者。翻訳会社がクライアントから受注する翻訳のお仕事は多種多様ですが、翻訳を行う翻訳者のお仕事のスタイルもさまざまです。翻訳者が実際にどのように翻訳のお仕事に取り組んでいるのかはなかなか見えにくい部分がありますが、少しでもイメージを広げていただけたら嬉しいです。

Vol.2 オルダトン美和さん(実務翻訳者)

今回は翻訳講座の医学・薬学コースを修了し、医薬のみならずさまざまな分野で翻訳のお仕事をされているオルダトンさんにオンラインでお話をうかがいました。

オルダトン美和さん(実務翻訳者)

オルダトン美和さん(実務翻訳者)

基礎、Step1、Step2の医学・薬学 日→英コースを修了後、実務翻訳者に。現在は、医薬分野のみならず幅広い分野で翻訳のお仕事を手がける。

翻訳の学習を始めたきっかけや翻訳者を目指そうと思ったきっかけを教えてください。
オルダトンさん:以前勤めていた会社で日本のクライアント向けに翻訳を行う機会があったのですが、その後、退職して育児をする中で、家でできる仕事を考え始めたときに、英語力を生かしてまた翻訳をしてみようと思いました。ただ、「自分の翻訳力で大丈夫かな」という不安があったので、ちゃんと勉強したいと思ったのがきっかけです。
専門分野や言語方向はどのように決めましたか?
オルダトンさん:専門分野は本当に純粋に興味という部分で医学・薬学を選びました。特に医薬系のバックグラウンドがあるわけではなく、会社で翻訳していた時とも全く異なる分野だったのですが、以前から医学系の書籍を読んだりと興味のある分野だったので。英訳(日→英)を選んだのは、どちらかというと和訳(英→日)の方が競争が激しくて、英訳の方が翻訳者が少ないかなと考えたためです。翻訳の学習をスタートする上で、やはり医薬系のバックグラウンドがある方が有利だと思いますが、バックグラウンドがなくてもがんばれば無理ではないと思います。
受講をしてみて、おすすめの学習方法などはありますか?
オルダトンさん:時間があるのであれば、できれば午前中や昼間に学習に取り組むことをおすすめします。私の場合、土日であれば朝学習ができたのですが、平日は夜しか学習時間がとれなかったのでどうしても能率が落ちてしまいました。あと、見直しは絶対に朝やるのがおすすめです!原文を読んで、訳してみて、確認するのは次の日の朝、というサイクルで何回かに分けて取り組んでいました。一度頭をリセットしてから見直しをした方が間違いに気づきやすく、いい文章ができると感じました。
受講中に点数が伸びなかったときや行き詰ったときなどはどう対処していましたか?
受講中に点数が伸びなかったときや行き詰ったときなどはどう対処していましたか?
オルダトンさん:あまり劇的に点数が変化する、ということはなかったのですが、返ってきた答案の先生のコメントをしっかり読んで、自分の答えと突き合わせて、ということを繰り返し行っていました。次の課題を翻訳するときに同じ間違いをしていないかは必ず確認していましたね。また、知らないフレーズや勘違いして解釈してしまった文章などは、すべてエクセルでまとめて管理していました。そのエクセルは翻訳のお仕事をしている今でも見返すことがあります。「あれ、この箇所、前にも同じように悩んだ覚えがあるな…」と感じたときなどに確認したりと、仕事をしてからも役に立っています。
受講と仕事の一番の違い何ですか?
オルダトンさん:やはり緊張感ですね。受講中は自分の気が済むまで調べ物をしたり、時間をかけて1つの課題に取り組んでいましたが、お仕事では当然ですが納期があるので、その納期に間に合うようにスケジュールを組んで進める必要があります。調べ物についても、仕事となると「分かりませんでした」では通用しないので、「絶対に答えを見つけないといけない…!」という緊張感があります(笑)受講と違って「納期」があるというのも非常に大きくて、最初の頃のお仕事は、自分が思ったより時間がかかってしまって、焦ることもありました。10-20件くらいこなして慣れてくると調べ物の要領などがわかってくるので、だいぶ楽になりました。
受講中、点数が伸びずに悩んだことはありますか?どのように対処していましたか?
現在はどんな内容の翻訳をされていますか?また、コロナを経てお仕事に変化はありましたか?
オルダトンさん:最近は医薬文書より、Webサイトのインタビュー記事、企業のアニュアルレポート、社内報の記事などが多いです。お仕事を始めた当初から、医薬関連だけでなくさまざまな内容の翻訳をいただいています。
日本でコロナが始まった頃は翻訳の仕事が減った時期がありましたが、すぐに通常に戻ったので、そんなに影響はなかったのです。内容面では、インタビュー記事でも、企業のレポートでも、さまざまな案件で、どこかしらでコロナに触れているという文章は多いですね。企業の業績を説明する際にもコロナの影響は大きいので…。
調べ物はインターネットを活用して?
オルダトンさん:基本はインターネットなのですが、今ニュージーランドに住んでいるので、地元の図書館を活用することもあります。翻訳に海外文学の引用などが出てくることがあるのですが、そういったときに、近所の図書館の在庫を確認して、借りに行ったりします。
翻訳のお仕事の楽しさややりがいなどがあれば教えてください。
オルダトンさん:私は1人で集中して仕事をするのが好きなので、そういう人にとっては理想的な仕事じゃないかなと思います。また、お仕事を通して自分の知らない知識を得られる、というのは楽しいなと思います。翻訳する際は文章を訳すよりも調べている時間の方が長いので、翻訳の仕事が来なければ、調べようとも思わないようなことを自分で一生懸命調べて理解しようとして、という作業が個人的にはすごく楽しいです。自分の知らない世界を垣間見る感じですね(笑)
インタビュアー
「打診されたお仕事は基本的にお断りしたことはないです」とおっしゃっていたオルダトンさん。プロ翻訳者として真摯にお仕事に取り組む中でも、知的好奇心を持って翻訳という作業を楽しんでいらっしゃる様子がとても印象的でした。(MRI語学教育センター 鈴木)

過去のインタビューはこちら
Vol.1 宮坂祐子さん(実務翻訳者)

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