校閲にトライ！

校閲2019/04/25校閲にトライ！

いよいよGW。家の中や移動中、もしも時間がぽっかり空いたら、校閲作業にトライしてみるのはいかかでしょうか。

以前掲載した以下のコラム、実は執筆者が日本語の誤用や表記のミスをいくつか忍ばせてありました。先ずは解説前のコラムを読み、校閲作業にトライ！そして以下の解説を読んでみてください。
その奥深さにハッとすることでしょう。。。

＊解説前のコラムはこちら＊

校閲にトライ！

お久しぶりです。3年ほど前にこの記事を書いた校閲担当者です。
もはやこの記事を書いたことをすっかり忘れていましたが、この度、解説の作成を依頼され、当然どこに間違いを仕込んだかなどすっかり忘れていたので、慌てて同僚の校閲者に協力を求め、ダブルチェック体制でこの解説を作成しました。
もちろん、このようなくだけたブログ記事では、たいていの言葉遣いが許容されるのですが、せっかくですので、この解説では校閲や翻訳に役立ちそうなポイントを取り上げます。みなさまのスキルアップのきっかけになれば幸いです。

————————————-【コラム】——————————————-
「翻訳会社で校閲の仕事をしています」と誰かに話すと、
決まって「え？コーエツ？」という言葉が返ってきます。
「いや、だから、校閲っていうのはさ、ほら、なんかこう、縁の下の力持ち的なさ…」
と熱く語るのですが、たいていの人はすぐに興味をなくしてしまい、気がつけばみんな①、
別の話題で盛り上がっています。

我ながら非常に残念なのですが、翻訳の校閲というのは決して派手な仕事ではありません。
大金を動かすタフな商談もありませんし、世界を変える技術開発もありません。
端から見れば②、ただ眉をしかめて③黙々と訳文を読んでいるようにしか見えないでしょう。

それでも、校閲というのは本当にやりがいのある仕事です。

人間は皆①、ミスをしてしまうものです。
どんなに優秀な翻訳者でも誤訳はあります。
熟練のDTPオペレーターもレイアウトミスをしてしまうことがあるでしょう。
営業の指示やコーディネーターの指揮にも失敗があるかもしれません。

私たち校閲者の仕事は、翻訳に関わる1人1人がしてしまうミスをしっかりとフォローして、
クライアントに期待通りの翻訳をお届けすることです。
手強い案件や限られた作業時間に頭を抱える毎日ですが、間違いを見つけるたびに、
「ああ、この仕事をしていてよかったな」と心の底から思えます。

…いうところ④まで読んでいただいて、どこか違和感を覚えなかったでしょうか。
実は、上の文章には、日本語の誤用や表記のミスをいくつか忍ばせてあります。
このコラムを読んでムズムズしたあなた。
あなたはすでに、校閲者なのかもしれません。

————————————【解説】——————————————–
①表記揺れ
「みんな」と「皆」の表記が揺れています。翻訳会社が扱うビジネス文書のほとんどでは、表記の統一は必須です。表記が揺れていても内容には影響しませんが、文章の品位は大きく損なわれます。「及び／および」、「ユーザー／ユーザ」、「気を付ける／気をつける」などなど、表記が揺れそうな言葉が日本語にはたくさんあるので、気を付けて校閲します。

②漢字の表記
漢字の表記は校閲時の悩みのひとつです。「『端』は変だろう！『傍』じゃないのか…いや、『側』か…？」など、気にしだすとどんどん気になってきます。漢字の表記はクライアントから指定される場合もありますし、採用するスタイルガイドによっても異なります。世の中にはさまざまなスタイルや表記慣習があるため、どのような文書でどのような表記が採用される傾向があるか、関心をもって調べておくと役に立ちます。たとえば、さまざまな分野の執筆にも利用されるある新聞社のスタイルガイドでは、「はたから見れば」という平仮名表記となっています。そして表記を決めたら、文書内で統一することが特に大切です。このブログ記事にはほかにも、「たいてい」、「気がつけば」、「1人1人」など、気にすれば気になる言葉がたくさん登場するので、ぜひいろいろと調べてみてください。

③言葉の誤り
「眉をひそめて」または「顔をしかめて」です。慣用表現は意外と覚え間違いをしていることがあるので、校閲者はこのような言葉に出会ったら、慎重に点検します。

④誤字・脱字
「というところ」です。「と」の脱字です。「ここも問題の範囲なのか！？」と思われた方は、気を付けてください。ミスはどこに潜んでいるかわかりません。文書のヘッダーやフッターにあるかもしれません。パワーポイント資料のノート部分かもしれません。アニメーションの後ろに隠れているかもしれません。油断せず、隅々まで校閲します。そして白状すると、このミスはおそらく私が意図的に忍ばせたものではありません。ダブルチェックに協力してくれた同僚の校閲者が目ざとく見つけてくれました。自戒。校閲者とて、ミスからは逃れられないのです。

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