多すぎる略語の世界

校閲2021/12/07多すぎる略語の世界

12月に入り一気に気温が下がりましたがいかがお過ごしでしょうか。
翻訳にまつわる各種担当者のミニコラム「実務翻訳のススメ」。
今回は、翻訳会社の校閲担当が日々感じる略語の多さについて執筆しました。

多すぎる略語の世界

入社してからこの方、いつも多すぎる「略語」に惑わされ悩まされてきた、医薬分野の校閲者です。
例えば弊社で「PM」といえば「プロジェクトマネージャー（Project Manager）」を指しますが、野球界で「PM」といえば「プレイングマネージャー（選手兼監督：Playing Manager）」を指しますよね。「首相（Prime Minister）」も「PM」です。

医薬用語ではどうかといえば
「ペースメーカー（Pace Maker）」
「多発性筋炎（polymyositis）」
「閉経後（Post-menopausal）」
「粒子状物質（particulate matter）」
「乳頭筋（papillary muscle）」
「不全代謝者（poor metabolizer）」
などなど、医療機器、免疫系、婦人科、バイオ、慢性疾患といった多種多様な領域の略語に「PM」が使われています。（おそらくまだまだあります）
スペルアウトが見当たらなければそのまま「PM」と訳しておけばいいじゃないの、と思われるかもしれませんが、「PM」が何を指しているのか理解して訳すのと、わからないまま訳すのとでは、訳文のこなれ感・統一感がまったく違ってきます。
いったいどうやったら覚えられるのだろう？　身につくのだろう？　とずっと悩んでいましたが、実は覚える必要はないのでは、と最近思い始めました。
なぜならきっとどこかにヒントが転がっているからです。
照会事項や症例報告の一部分など、略語のスペルアウトが見当たらない短いものでも、疾患や薬剤について言及があれば、おのずと領域が見えてきます。領域さえわかれば、あとは容易に推測できますし、検索するのも簡単です。
そうはいっても･･･いろいろ調べたけれど、どうしても、何を指すのかわからなかった･･･そのまま訳しちゃった･･･合っているのかな･･･
そんなときは、一言申し送りをいただければ幸いです。
同じように悩んで、調べて、結局わからない！　となるかもしれませんが私たち校閲者が納品ぎりぎりまで確認させていただきます。
少しでもみなさんのお力になれれば幸いです。

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