コラム　～「コーディネーター」のお仕事～

翻訳のお仕事2014/06/10コラム　～「コーディネーター」のお仕事～

翻訳に関わるお仕事紹介の第2弾として、今回は「コーディネーター」と呼ばれる方々のお仕事をご紹介します。翻訳家を目指す皆さま、どうぞ参考にしてください！

Q:　ズバリ、コーディネーターのお仕事とは？
A:　お客様から頂いた翻訳案件を総合的にコーディネートする仕事です。案件受注～納品までの各作業工程の構築と管理はもちろん、営業へのコスト・納期・作業方法の提案、各作業者への指示・フィードバック等、案件に関わる全ての人の窓口となります。Q:　納品までのお仕事の流れを教えてください。
A:　はい。まず、営業担当を通して、お客様からの翻訳案件を預かります。その後、原稿を精査し、案件に適した翻訳者さんを選定し、依頼します。翻訳者さんから訳文を納品していただいた後は、ネイティブチェッカー、レイアウト担当のオペレーター、校閲に案件を回します。最後に、お客様のご要望に合った納品物に仕上がっているか等の最終チェックをして、完成品を営業担当へ納品します。案件によって原稿の照合や資料準備、工程順序変更、その他さまざまな作業が発生しますが、基本的に案件はこのように流れています。コーディネーターは案件がスムーズに流れるように、また、案件にかかわる人たちの間にたってコミュニケーションをとるため、潤滑油のような役割が必要とされます。

Q:　「翻訳者さんの選定」は、翻訳家を目指す方々にとって気になると思いますので、そのあたりを少し詳しく教えてください。どのような基準で「この案件はあの訳者さんに依頼しよう」と決めるのですか？
A:　選定基準はいくつかありますが案件の「内容」と「分量・納期」が主な選定基準となります。
「内容」とは、言語（英訳、和訳、多言語訳等）、原稿の専門性や難易度、原稿データ形態等が挙げられます。まず、その言語登録がある方の中から、原稿の分野に対応いただけそうな翻訳者さんを選定します。その後、お仕事の内容に応じて、固有名詞が多数ある案件は調査が得意な方、細かいデータ編集を要する案件にはPC能力の高い方、複雑な作業指示がある案件には注意力の高い方といった具合に、「内容」に合った方にお仕事のご相談をします。そして「分量・納期」も判断の大きな基準です。納期に対して分量が多い案件は翻訳スピードの速い方にご相談します。このように、内容と、「何枚」という分量、それに「○月○日まで」という期日を総合的に判断して、翻訳者さんにお仕事を打診することになります。

Q:　分野、言語、納期の他に、「こんな翻訳者さんは助かる！」ということがあればぜひぜひお聞かせください。
A:　言語を変えるだけの翻訳作業ではなく、後工程への配慮をしていただける翻訳者さんは非常に貴重です。後工程への配慮とは、ご自身で使用された参考資料元がある場合のお知らせや、原文不備があった際のご指摘、原文を意訳した方が伝わりやすいかなという箇所があればそこにご判断の理由を記載してくださること等が挙げられます。翻訳したものが読み手に届くまでのことを考えながら作業をしていただける方は、必然的に社内はもちろん、クライアント様からも高い評価をいただくことになります。ちょっとした気持ちの作業で、翻訳物の品質がガラっと変わります。

Q:　最後に、プロの翻訳家を目指す方へ、アドバイスをお願いします。
A:　翻訳案件一つ一つに多くの人がかかわります。翻訳者の方はご自宅で、一人で作業をされる方が多いと思いますが、案件を完成させるという意味では、翻訳は一人で行うものではなく、制作チームの一員として行うものだと考えています。語学力や専門知識を向上させることは大切ですが、それと同じくらいチームとの連携も大切です。また、実案件を良い勉強材料として、積極的にご質問いただいたり、フィードバックの参照等をしていただき、ご自身のステップアップにつなげていただければ幸いです。コーディネーターはその窓口として皆さまのサポートをさせていただきます！

ありがとうございました。
次回は、メディア総合研究所翻訳事業部の制作部長にアタックしてみたいと思います。お楽しみに！

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