機械翻訳における校閲事例

機械翻訳2016/07/08機械翻訳における校閲事例

★毎週金曜日更新★
翻訳にまつわる各職種担当者からのミニコラム第七弾！！
今回は、「機械翻訳における校閲事例」について、ご執筆いただきました！
機械翻訳にはなかなか馴染みがないかと思いますので、ぜひご参考にしてみてください。

翻訳やQC点検（クオリティーコントロール）の仕事に携わってから10年程になる。同じような間違いをする翻訳者さんが多いので、事例を蓄積してきている。翻訳を機械でできる時代になってきたが、点検はどうか。

◆臨床試験での、併用禁止薬（漢方）
原文「Soy, black cohosh, dong quai」が、訳文で「大豆、サラシナショウマ、ドン波止場」となっていた。翻訳をする際に何かツールを使っていたと推測される。確かに「quai」はフランス語で、「岸壁」とか「波止場」が含まれるが、正解は「キンポウゲ科のドンクアイ」。

◆地名
新潟県村上市に「上海府（かみかいふ）」という地域があって、いつも「Shanghai Office」と訳されてしまう。瀬戸内海に面した「中国地方」も「China」の誤訳が多い。

◆メディカルの記載要領
原文「Avoid the use of “man” and “mankind.” The use of “people” or “humans” is preferred. 」が、機械翻訳では「『人』や『人』の使用は避ける。『人』または『人』の使用が好ましい。」となってしまう。欧米では差別用語、中でも性差別と取られる表現は避ける傾向にある。そのため原文では、性差別を避ける表現の記載が推奨されていた。

議長「chairman」も「man」があると男だけのようで、性差別になるので、「chairperson」や「chair」が使われるようになった。
メディカル分野では特に平等性は高く、ヒトに最初に医薬品を投与する「第1相試験」も、以前は「first in man study」と呼ばれていたが、今は「first in human study」と先の例文と同じ形に書き換えられている。

つまり、原文を正しく翻訳すると以下のようになる。
「『～man』や『～mankind』の使用は避ける。（男性、女性を区別しない）『人々（people）』や『ヒト（human）』を用いることが推奨される。」

このように英単語を残したり、言葉を補わないと、なぜその指示が出てきたか理解しにくい。

機械翻訳や人工知能が、言い訳したり、冗談を言えるようになるのだろうか。

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