信頼できる翻訳者の有り方

翻訳のお仕事2016/08/05信頼できる翻訳者の有り方

★毎週金曜日更新★
翻訳にまつわる各職種担当者からのミニコラム第11弾！！
今回は、「信頼できる翻訳者の有り方」について、営業の担当者にご執筆いただきました！

翻訳を希望されているお客様と打合せをおこなっていると、「翻訳先言語ネイティブによる翻訳」というリクエストをいただくことが多くあります。（例えば、日本語から英語への翻訳であれば、英語ネイティブによる翻訳のご希望。）このリクエストが出てきた時は、慎重な対応が求められる瞬間です。
「翻訳先言語ネイティブのほうが常に良い翻訳成果物になる」とお客様が思いこんでいるケースが多いからです。もちろん、「翻訳先言語ネイティブによる翻訳」が必要なケースも多くありますが、原文の微妙なニュアンスをくみとることが求められる案件では、「翻訳先言語ネイティブによる翻訳」によってそのニュアンスが失われるリスクも伴います。そのため、お客様から「翻訳先言語ネイティブによる翻訳」のリクエストがあった場合には即応できません。
「翻訳先言語ネイティブ、あるいは、原文言語ネイティブのどちらが、より良い翻訳成果になるか」について、お客様との相談が必要になります。

「原文言語ネイティブ」によって原文のニュアンスをくみとることが必要な場合は–
「原文言語ネイティブによる翻訳　＋　翻訳先言語ネイティブによる文章チェック」
–による対応をお客様へ提案することとなります。

この対応は作業時間がかかってしまいますが、原文言語ネイティブと翻訳先言語ネイティブの長所を取り入れることとなり、質の高い翻訳成果物をお客様へ納めることが可能です。
（当社では、さらに校閲をおこない、精度を高めています）

「翻訳先言語ネイティブによる翻訳　＋　原文言語ネイティブによるチェック」
–という対処法もありますが、この順番では「失われたニュアンスを復活させるための修正作業」の配分が多くなってしまい、効率が悪くなることも少なくありません。

こういった背景を説明すると多くのお客様にご納得いただけ、「翻訳先言語ネイティブ、あるいは、原文言語ネイティブのどちらが良い案件であるか」について、一緒に結論を出すことができます。

既にお気づきの読者様もおられるかと思いますが、この位置づけの場合、原文言語ネイティブの方々には、原文の背景はもとより行間をくみとったうえでの訳出が求められてきます。

辞書や用例で頻出する訳を用いた「語/文節単位の置き換え」ではなく、ドキュメント全体のテーマや背景、翻訳後のドキュメントがどのような方々の目に触れるのかを想像したうえでの「最適と思われる表現での訳出」です。
「専門分野の確立」とも言い換えることができます。

この分野であれば原文言語 / 翻訳先言語　どちらの世界でも詳しく知っている—
こういった専門分野を確立していただくことが、お客様にとって信頼できる翻訳者の有り方だと思います。

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