やっかいな英単語

スキルアップ2016/08/26やっかいな英単語

★毎週金曜日更新★
翻訳にまつわる各職種担当者からのミニコラム第13弾！！
今回は、校閲さんに、「やっかいな英単語」というテーマでご執筆いただきました！

和訳の校閲をしていると、なんだか変な日本語だなあ、うーんどうしたもんだかなあと頭を悩ませることがよくある。そのような場合、原因の一つとして非常に訳出しづらい「やっかいな単語」が関係していることがある。例えば、「available」、「exciting」、「commitment」などの単語だ。これらは日本語に訳しにくく、「apple＝リンゴ」のように、すんなりと訳すことができない。さて、次の訳文はどうだろうか。英文：Detailed information is available on our website.
訳文：詳細な情報は当社ウェブサイトで入手可能です。

この訳文は間違っているだろうか。

英和辞書を引いてみると、確かに「available」は「入手できる、利用できる」とある。
なるほど、間違いではない。意味も通じる。
しかし、なんだかしっくりこないのである。

こんな時、まずは、頭をやわらかくして文意を考えてみる。

「Detailed information（詳細な情報）」が、「on our website（当社のウェブサイト）」に、「available」だというのは、どういう状況なのか。

つまりこの場合だと「詳細な情報が当社のウェブサイトで見つかりますよ」、「詳細は当社のウェブサイトにありますよ」という意味になる。

あとは、この文意を日本語のコンテクストに落としこんでみる。

そうすると、
「詳細については当社ウェブサイトでご確認いただけます」となる。
（※「詳細な情報＝詳細」なのでここも修正）

この過程で英英辞典や類語辞典の利用も有効だ。

もしどうしても、日本語で適切な表現が思いつかないとき。
ひとまずその部分は置いて、残りの部分に目を通してみるのも一つの手だ。
少し時間をあけることで、俯瞰的な視点で訳文を見ることができ、しっくりとくる単語が浮かんでくることもある。

上手な翻訳者さんは、この「英語の文意を正確に捉え、日本語のコンテクストで適切に表現する」スキルに長けている。
そういった翻訳者さんの優れた訳文と出会えることは、校閲という仕事の醍醐味の一つでもある。

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