翻訳者さんは名探偵？

翻訳のお仕事2016/11/04翻訳者さんは名探偵？

★隔週金曜日更新★
翻訳にまつわる各職種担当者からのミニコラム第17弾！！
今回は校閲の担当者にご執筆いただきました！

校閲者として実務翻訳の世界に身を置いて数年がたちますが、最近原稿を眺めていて切に感じることがあります。「翻訳に必要なのは、推理力なのでは？」と。お客様から依頼される翻訳の原稿は、業務のなかで実際に使用されているドキュメントであり、英語の教科書や翻訳勉強用のテキストのように、解釈が容易な文章ばかりではありません。むしろ専門的なドキュメントの場合、背景やその分野の基礎知識があるのは当然とみなされるため、略語や省略された表現が多く見られます。
逆に、一読しただけでは趣旨が把握できないくらい、長い文章が見受けられることもあります。また、日本語にありがちですが「主語のない」文章がいくつもあるものも。そんな原稿の意図するところ、伝えようとしているところを、翻訳者さんは日々、専門知識と調査力、推理力を駆使して訳文を作ってくれています。
必要であれば省略箇所を補い、長い文章であれば、適宜分割しすっきりと。また適切な主語をあて、不要だと解釈された場合も、うまく訳出してくださいます。
そんな推理がぴたりとはまった訳文を読むたびに「うまいなぁ」とつぶやいています。

解釈は何通りにも可能でも、お客様が原稿で意図されることはいつもひとつ。
今日も名推理が発揮された訳文をお待ちしています！

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